ある日の夜のテレビのニュース。
何でも、兵庫県の日本海側を走る山陰本線のとある古い鉄橋が、
老朽化による維持費の増大と強風に左右されない定時運行の実現を理由に
来年にも取り壊されるらしい。
その名も餘部橋梁(あまるべきょうりょう)。
そんな話は珍しくもなんともないし、私は鉄っちゃんでもなんでもないので、
初めはふーんという感じで聞いていたのですが、その橋が高さ41.5m、長さ309mを誇る
なんと1912年(明治45年)に作られた日本一(当時は東洋一)のトレッスル式鉄橋であり、
1986年に死者6名を出す列車落下事故を経験しながらも、町のシンボルとして
地元住民から90年余りも愛され続けた橋であるということや、
この橋を数十年に渡り撮り続けてきた老人の談話を聞いたりしているうち、
だんだんとこの橋の持つ魅力に引き込まれていったのでした。
そして、この姿の美しいこと・・・!
よくテレビなんかでヨーロッパの町並みを見ていると、
駅でも住宅街でも古くからある景観を大切にしているなあと関心させられます。
それが日本だとどうでしょうか。
私の住む鎌倉にしてみても、単に寺がたくさんあるというだけで、趣も何もあったものではありません。
これで世界遺産に登録しようなどと言っているのだからいい笑いものです。
昭和の高度経済成長に象徴されるように、戦争で焼け野原になった国を
がむしゃらに働いて復興させていった背景もあるからか、
秩序なく、古いものは捨て、新しいものに、という風潮が町並みにも表れていると思います。
この餘部鉄橋の事も、いろいろと事情もあるでしょうから、
しかたが無いのかもしれませんが、これが壊されてしまうとは実に忍びない。
せめてその姿を一度でもいいから目にしてみたい!
というわけで、思い立ったが吉日。
2日間で行って帰って来るにはやや遠いですが、納車されてほどないGSX-R1000を駆り
いざ、橋を目指して出発したのでした。
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今回の目的地はここ。
地図はおなじみの(C)アトラスさんより。
3年前の春に行った丹後半島のすぐ近くですね。ちょっと西へ行けば鳥取砂丘も見られますね。
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